バットマンシリーズ完結編!映画『ダークナイト ライジング』感想

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てなわけで「ダークナイトライジング」観てきましたのでつらつらと感想など。


※以下、ネタバレ含みます!









これまで監督クリストファー・ノーランが手がけてきた1作目の「バットマン ビギンズ(以下ビギンズ)」、傑作と名高い2作目の「ダークナイト」に続く、ノーラン版バットマンシリーズ3部作の完結編がこの「ダークナイトライジング(以下ライジング)」。

前作のダークナイトが本当に面白かっただけに本作もメチャクチャ期待して観たライジング、面白かったのは間違いないんだけど、ダークナイトの続編と思って観たらちょっと肩透かしに会ってしまった。だってこのライジング、

・今回登場する敵「ベイン」が、かつてビギンズで登場した「影の同盟」の関係者だということ
・ライジングの主題が、ビギンズと同じく、主人公ブルースの魂の葛藤と克服を中心に描かれていること

てな感じで、明らかに1作目のビギンズの方を強くフィーチャーしてるんですもの。

ダークナイトのテーマが、バットマン(=ブルース)とジョーカー、そしてトゥーフェイスの3人のドラマによって「正義とは何か?人間の本性は正義なのか?悪なのか?」というヒーローものの基盤すら揺るがしかねないテーマが描かれ、だからこそラストは胸を抉られるような切なさと感動が沸き起こったんだけど、今回のライジングは1作目のビギンズと同じく、主人公ブルース・ウェインという一人の男の挫折と克服というテーマに集中してしまって、いや確かにバットマン完結編においては当然描くべきテーマなんだけど結局それだけで終わっちゃったために、「正義と悪の意味」という大きなテーマを模索したダークナイトと比べると、どうしてもテーマが矮小化してしまった感が否めない。

おそらくノーラン監督はこのライジングを作るにあたって、前作のダークナイトの呪縛からとにかく離れたかったんじゃなかろうか。ライジングの敵役:ベインを前作のジョーカーとは全く別タイプに設定したのも、設定の多くを1作目のビギンズから持ってきたのも、前作でアルフレッドやゴードンが隠した秘密も本作のライジングであっさりバラしちゃったのも(正直前作の感動が台無しにされた気がして興冷めした)、あれだけ評判になってしまったダークナイトの続編を作ることのプレッシャー、ひいては生命を掛けてジョーカーを演じた故ヒース・レジャーの呪縛からノーランが逃れたかったためなのでは?そんなことを邪推してしまうほど、今回のライジングは前作ダークナイトの”匂い"がしない。むしろ1作目ビギンズの正当な続編がこのライジングと考えたほうがしっくりきちゃうのだった。



・・・まあ、ダークナイトとあんまり比べすぎるのも野暮というものだし、ここからはライジング本編の内容について。

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アクション・エンターテイメントとしては十分に楽しめた。上映時間165分という大作にも関わらず、最後まで全く退屈しないで観れたんだから大したものだと思う。相変わらずメカもカッコイイし、アン・ハサウェイ演じるキャットウーマンの強さと繊細さの両面を持ち合わせた魅力的なキャラになっていた。ていうかバットマンよりもキャットウーマンのほうがあちこち大活躍して目立ってた気がするのは気のせい?


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一方、敵役のベインは、今ひとつ魅力に欠けたまま終わっちゃったかなあ。確かにバットマンをフルボッコにしちゃうほど強く、ゴッサムを一夜にして無法都市にしてしまう頭脳を持った凶悪なテロリスト=ベイン。でも物語の後半、ついにベインがゴッサム占拠した後、さらにゴッサムを核兵器で破壊してしまおうとするこの2つの行動のつながりがよくわかんなかったし(戦闘不能になったブルースにゴッサムの崩壊を見せつけて苦しめるため、という説明はあるけど、それならいちいち悠長にゴッサムを占拠せずとも最初から核であぼーんすれば済むじゃん)、そして何より、終盤であきらかになる真実(さすがにコレはネタバレすぎるので伏せる)によって、無慈悲で最強の敵と思ってたベインさんが、なんだか「強いけど結局ふつうの男」に格下げされちゃうのだ。ジョーカーと比べるのは酷だとしても、やっぱりこのベインを含めた敵キャラの魅力の薄さは残念。



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そしてライジングで描かれたバットマン=ブルース:ウェインの結末。
これまで夜の闇の中でのみ戦ってきたバットマンが、ついに太陽の下で人々と共に戦い、ゴッサムを救った英雄として人々の記憶に残り、銅像まで建てられた。晴れてバットマンは闇の騎士=ダークナイトから光の騎士=ホワイトナイトになれたとも言える。しかしバットマンの銅像が人々の拍手喝采で迎えられる一方で、ブルース自身は屋敷の側の小さな墓石として名前が残るのみ。ブルースにとっての本当の救いは、作品内で執事:アルフレッドが語ってた「バットマンのことは忘れ、ブルース様自身の人生を生きること」だったはずだけど、結局ブルースは最後までブルースとして生きることは選ばず、バットマンとして生きることを選んでしまった。バットマンは、"ライズ"できたけど、ブルース自体はついに"ライズ"できなかった。だからこの映画はブルース・ライジングでは無く、あくまで「ダークナイト・ライジング」なのだ。ブルースが最後まで救われなかったのこの結末はちょっと切なかった。



ともあれついに完結したノーラン版バットマン。ワタシがダークナイト最高!な人間だったため、本作ライジングについてはちょっと辛辣なことも言ってしまったけど、冷静に見ればダークナイトのプレッシャーに負けず、ちゃんとここまで作り上げてくれたノーラン監督は素直にお疲れ様を言っていいだろう。ただ今回の3部作はどれもシリアスで重めだったから、次のシリーズが始まるとしたらもう少し肩の力を抜いて観れる娯楽作品としてのバットマンが観てみたいかな。





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