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今でも中島らもが必要なんだ 近未来私小説『ロカ』

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中島らもの遺作『ロカ』を読んだら、予想以上に面白かった。執筆中に作者が亡くなったため、未完のままというのが何となく引っかかって今までスルーしていたんだが、文庫になったのを機に読んでみたら、らも晩年の躁状態のテンションがそのまま乗り移ったような俺様サイコー!ぶりが実に痛快。

"近未来私小説"と称された本作。主人公は中島らも本人をモデルにしながら、作中では億万長者の作家で、ロカと名付けたギターを抱えて街を放浪し、時にマリファナも吸っちゃう自由気ままな不良老人。しかもプロのギタリズトにギターの腕前を褒められ(実際のらもはギターがとても下手だったとかw)、19歳の娘とイイ感じになり(娘のモデルは本上まなみか藤谷美和子。どちらも作者のお気にいりだった女優)、NHKのTV番組で放送禁止用語を連発し(名曲「いいんだぜ」も作中に登場)、俗にまみれた生臭坊主に説教をかまし(他のエッセイでも語られていた水子供養批判)などなど、当時52歳だった作者が10年後にありたい理想像を無邪気に描いた願望小説のようであり、また中島らもの思想と嗜好を集大成した作品のようでもある。これを普通の人間が書いたなら、クソつまんないマスターベーション小説で終わっちゃうんだけど、いかんせん作者である中島らもという人間が余りに面白すぎるせいで、この『ロカ』本作もまた中島らもにしか出せない独特の魅力が溢れており、ファンの私には最高に楽しめたのでした。

今でもなんか疲れたりいろいろ行き詰まったりすると、中島らもの本を読み返します。ネットやる気も起きないほど疲れた夜には、「さかだち日記」がいいですね。作家の日常を淡々と描く、その虚飾の無い文章が疲れた頭に良い塩梅。鮮烈でどこか退廃的な「頭の中がカユいんだ」も良いし、「ネリモノ広告大全」のマンガのシュールなギャグセンスも好き。躁うつ病の体験記「心が雨漏りする日には」、らものドラッグ観が詰まった「アマニタ・パンセリナ」、自らの人生を振り返った「異人伝」なんかはもはやバイブルで何度読み返したかわかんない。

「僕という存在の喪失が、しばらくの間人々の間に影を落とし、やがてその影が薄れて言って、僕はほんとうの無になる。そういうのがいい」(我が葬儀)


中島らもが死んでもう10年経ったけど、オレにはまだまだあなたの影が必要みたいです。合掌。



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